◆発表前は世間の厳しい視線が怖かった

――そうした偏った意見が根強くあるなかでの作品発表に“恐怖心”はありませんでしたか?

五十嵐:おっしゃる通り、世間の厳しい視線は以前から感じていたので怖さはありました。それでも、今回の騒動を見て「生活保護に救われるケースもある」と早く伝えなければ、と強く思い、筆を執りました。

また、私自身の立ち位置も漫画にしやすいと考えたんです。実際に生活保護を申請したのは、脳の疾患で後遺症を持つ父であり、私はその家庭で育った子ども。やはり、生活保護を申請した本人は、世間に対して申し訳なさや後ろめたさを感じているため、自ら発信しにくいと思うので……。当事者でありながら、当事者ではない私の視点で生活保護制度について描きたい、という気持ちもありましたね。

『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』4話より
『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』4話より
発売後の反響は「生活保護家庭のイメージが変わった」「逆境でも前向きに頑張る姿に励まされた」など、好意的な感想が大半だったので、本当にありがたかったです。なかには「自分も貧困家庭で育ったので共感しました」という声もあり、“つらかったのは私だけじゃないんだ”と感じられて嬉しかったのを覚えています。