昔から、慶應幼稚舎などの有名校に入るためには、そこにコネを持っている学習塾へ通い、多額の裏金を使うといわれてきた。

 私も現役時代、そうした塾の不正を暴く記事を作ったことがあった。

 だが現代では、堂々と塾側が父兄に裏金を要求するところがあると文春が報じているのだが、本当なのか?

 文春の記者で、現在1歳の子どもを育てながら記者をやっている女性が、こう書いている。

 私立の最難関・慶応義塾幼稚舎の合格を勝ち取った話。共働き家庭で国立の難関校・筑波大附属小学校に子を送り込んだ体験談。取材を進めるにつれて秘密のベールに包まれた小学校受験の“一端”が見えてきたという。

「真偽不明の噂が飛び交う『お受験の世界』でまことしやかに囁かれる噂の代表格が『コネと口利き』だ。
その実態に迫るべく取材を進めていた矢先のこと。にわかには信じがたい証言が飛び出した。
『子供を通わせていた有名塾から「行動観察や面接は先生の胸三寸。私たちを経由して志望校の先生に“心づけ”を渡せば、点数調整ができますよ」と持ちかけられたのです。その金額は一校あたり百万~二百万円だ、と』
こう語るのは現在低学年の子供を私立小学校に通わせている永田裕子さん(仮名、30代)である」(文春)

 受験情報サイト「お受験じょうほう」によると、今年度入学の首都圏にある私立小学校の志願者数は約二万四千人にものぼるという。

 このサイトを運営するバレクセルの野倉学代表がこう解説する。

「かつてのお受験は一部の良家子女の人たちのものでしたが、今は小学校が増え一般的な家庭でも進学の選択肢の一つになっています。ですが、都心部の受験熱は高止まりしていて、名門校への入学は少子化が進む今も狭き門であることに変わりはありません」

 数年前の秋、裕子が子供を通わせていたのは「AiQ(アイキュー)」という塾。

 東京商工リサーチによれば、年商は約8億円。都内に12の教室を構え、HPに掲げる『第一志望合格率』は77.6%。慶應義塾幼稚舎が65名、学習院初等科が55名など合格実績がずらりと並ぶそうだ。