文春は岸田首相のオフレコメモという特集を組んでいる。

 多くはこれまで知られていたことの蒸し返しである。2022年10月中旬。史上初となる旧統一教会への質問権の行使の際は、

「自分の判断で決めた。当然だろう。これをやらないともう終わらないから」

 唐突に所得減税を表明した時には、

「減税は誰が何と言おうとやる。批判はあるけど、もう俺が決めたから」

 毛嫌いしているといわれる茂木敏充幹事長のことは、

「茂木のことは許さん」

 そして4月4日、裏金問題の党内処分を発表した時にも、

「茂木がまとめられないから、俺が出て行くしかない。まぁ俺が決めたから」

 3月下旬に日朝首脳会談の可能性が一部で報じられた時には、

「金正恩と俺の二人だけで決める話だから。周りが何を言うかは関係ない。外務省もなんやかんやリークしているようだが、全部俺が決めることだから」

 政治部デスクは、「日に日に独裁ぶりが加速しているということです」といっているが、私は、そうではないと思う。

 自分の弱さを隠すために、決断できる力を誇示しているだけなのだ。将来へのビジョンもリーダーシップもない人間が、言葉だけ「俺が決断する」といきがっているだけである。

 故・安倍晋三が残していたオフレコメモが岸田の本質を見事にいい当てている。

「岸田さんは何をやりたいのか分からないから怖い。だから、首相を任せられないんだよ」

 安倍でさえ見限っていた男。その男が総理の座を放したくなくて暴走する。これって本当に怖い。