◆反抗心から生まれたものたち
反抗心、という言葉は、元鈴木さんの口からたびたび出てくる。
「マジカルポケットも、反抗心からできたものなんですよ。女性のバッグは小さくて飾りみたいものと思われてますよね。世の中の人、主に男性が思い描く素敵な女性って、荷物が少なくてこんな小さなバッグで出かける女性でしょ? そう見えるよね? でも私、ポケットに荷物いっぱい持っているから! と言いたくて(笑)」
世間に対して常にファイティングポーズをとっているような、元鈴木さん。それが癇(しゃく)に障る人がいるようで、SNS上で反発を招くことがある。その多くが男性からの、元鈴木さんに「俺の思う女性の身体」をごていねいに説くものである。
いわゆるマンスプレイニング……主に男性が、相手の女性を無知だと決めつけてウエから解説したり知識を披露したりする態度だが、それに対する元鈴木さんのリアクションは辛辣でありながらユーモアがあり、見ているとクスッと笑いながら拍手したくなる痛快さがある。
「私、自分のことエンタテイナーだと思っているんです。四角四面に返すのではなくユーモアを混ぜるのは、世の人々に見てほしいから。女性というだけでこんなことを言われるんだぞ! でも私たちは黙っていないよ! と広く表明したい。
相手を人として見ていないから容姿のことをあれこれ言うのでしょう。本来ならこれって男性と女性の問題ではなく、人間としてお互いにリスペクトがある対応をしましょうって話なのに。それからマンスプレイニングしてくる男性にも、失礼なことや筋のとおらない意見を押し付けたら私にエンタメとして消費されるんだぞ! と伝えたいんです」