■珍しいことが起こりました

 今回は、主人公が犯人だったという珍しい展開がありました。冴木がいわゆる「信頼できない語り手」だったわけですが、ここまでドラマが冴木と連続暴行事件とのかかわりをどんな風に描いてきたかを振り返ってみたいと思います。

 事件発覚のきっかけは、冴木の上司である五味刑事(黒木メイサ)が防犯カメラの映像を見たことでした。姿ははっきり映っていないけれど、両手を祈るように組み合わせる癖のある男を私は知っている。冴木、おまえがやったんだろう。そういう感じでした。

 第1話、2024年のシーンを終えて2017年に時間が移った直後、ファーストシーンで冴木はデスクに座って祈っていました。

「冴木って神様とか信じるタイプだっけ? それ(祈るポーズ)、よくやってるから」

 振り返れば最初に伏線だったんですね。

 その直後、冴木がやっていた連続暴行事件の話題に。五味刑事がホワイトボードを指さしながら新人くんに事件の概要を説明しますが、冴木はバナナをもぐもぐしながら平然と眺めています。五味刑事から「犯人は防犯カメラの位置を把握しているのか、証拠につながりそうな映像や写真はほとんどなし」と語っています。「防犯カメラの位置を把握している」のは刑事だから、「ほとんどなし」は少しある。これも伏線です。冴木は上司の川相(野間口徹)に「頼むぞ」と言われ「はい」と適当に返しています。

 その後、最新の暴行事件が発生。灰川邸事件の捜査から外された冴木は、五味さんから「例の傷害事件、昨日同じような犯行があったらしい」と告げられ、自分が犯人の事件の捜査に加わることになります。しかし冴木は、上司の命令に背いて単独で灰川邸事件を追うことにします。