◆『光る君へ』との共通点は?
『烏は主を選ばない』は、烏(からす)から人に転身できる「八咫烏(やたがらす)」の一族が支配する「山内(やまうち)」という異世界を舞台にした和風ファンタジー。
山内は、族長一家の宗家から生まれる「金烏(きんう)」を頂点に、東西南北の4つの領地を大貴族「四家」がそれぞれ治めている。金烏=最高権力者の正室はこの四家から選ばれるのが通例で、どこの家の姫が后となるかによって四家のパワーバランスも変わる。
アニメ第1部は、「八咫烏」シリーズの第1巻と第2巻を組み合わせて映像化しており、次期最高権力者となる皇太子・若宮(わかみや)の后選びという名の政争(第1巻『烏に単は似合わない』)と、若宮の命を狙う反対勢力との闘い(第2巻『烏は主を選ばない』)という、同時間軸で進行する2つの物語が描かれていく。
四家の姫たちは、皇太子の后候補として「桜花宮(おうかぐう)」という宮殿に住まい、家を背負った熾烈(しれつ)な戦いに火花を散らす。
序盤では宮中の礼儀作法や教養にちなんだイジメ、実家の財力を背景にしたマウンティングも起こり、このあたりはさながら『大奥』のような世界だが、「あせびの君」「真赭の薄(ますほのすすき)」といった姫たちの呼び名はさながら『源氏物語』のようで、桜花宮には春夏秋冬の季節を冠した御殿があり、それぞれに4姫が住まうといった設定なども『源氏物語』のオマージュではないかと指摘されている。