■居場所と暴力について

 家に帰ると、いつものように母親の男からの暴力を寝たふりでやり過ごそうとするマユ。しかし、ヨウコさんに言われた「おめえが死んだらぼっけえ悲しい」「自分のことは自分で守れ」という言葉が頭に浮かびます。母親は守ってくれないし、児相も施設も警察もNPOも自分を守ってくれはしなかった。ずっとあきらめていたマユですが、ここで初めて「自分で守ればいいのか」ということに気づくわけです。割り箸を折って男の太ももに突き刺すと、家を飛び出します。

 自分の居場所に向かって、マユは夜の街を全力で駆け抜けます。

 そして「まごころ」でマユの帰りを待っているヨウコさんの元には、望まない訪問者がやってきました。冒頭でアゼルバイジャン人をボコった白人は実はプッシャーで、なぜだかヨウコさんを夜襲しに来たのでした。というところで、第4話へ。

 前回、マユは「生きるか死ぬかの人か、そうじゃないか」でいえば、「そうじゃない」人でした。今にもビルから飛び降りそうなホス狂の風俗嬢がいて、それに比べれば致死量にはまるで足らない市販薬を飲んで数時間で回復するマユは単なる甘ったれたガキでしかなかった。今回は、そのマユの抱える地獄が描かれています。人には人の地獄がある。マユのエピソードは、そういうことを言っている。