顧客の信用醸成には時間がかかる

それから顧客の信用を得ようとすると、更に時間がかかる。リピート率が高いビジネスは売上が安定する。逆に常に新規顧客獲得し続けないと成り立たないビジネスはかなり不安定である。しかし、このリピートというのはいい商品だから自然発生するものなどではない。

なぜかというと顧客は忘れてしまうからだ。特にネットショップなどでは、店員の顔を見ながらやり取りをしたわけではないので、一年もすれば買った商品をどこのお店で購入したかなんて簡単に忘れてしまう。メルマガに登録してもらい、キャンペーンを告知するなど、何度も繰り返しコミュニケーションを取り続けなければ、お客さんはリピート買いしない。

これはどんなビジネスでも同じことが言える。そして消耗品など購入頻度の高い商品を取り扱っている場合でない限り、すぐにはリピート買いの必要性がない。顧客がリピート買いをするサイクルを作り出し、その数を増やすことでようやく経営は安定するのだから、やはりここにもかなりの年数を要するのである。

うまくいくまでやめなければ100%成功できる

ほとんどは起業してうまくいかないとすぐに諦めてしまう。上述した通り認知と信用には時間がかかるという理由もあるし、そもそも資金が枯渇してしまうと挑戦したくでも出来なくなってしまうからだ。どれだけ貯金があっても、お金が減る一方という状況は人の判断を狂わせてしまう。どれだけ気丈な人でも、精神的に揺さぶられ続けて冷静な判断をすることは難しくなるのだ。

筆者は起業前につけていたコンサルタントから「起業して即成果は出ない。年単位で取り組むつもりで、軌道に乗るまで会社を辞めず、週末起業で挑戦やりましょう」と教わった。最初の頃はなかなか思った成果が出ず、かなり苦しい思いをした。だが会社勤務を続けていたので、お金がなくなっていく恐怖を一切味わうことはなく、経済的理由で挑戦をしたくても諦めざるを得ないということはなかった。粘り強く挑戦したことで、3年目に大きな成果が出て、務めていた会社を退職した。

うまくいった理由を挙げるとすれば、挑戦を継続できる環境だったからである。若いほど吸収率も高く、体力もあって有利に思える。確かにそれは間違いないだろう。だが、それは起業成功の決定的な条件ではない。それよりも諦めずに、年単位で挑戦し続けられる環境づくりこそが起業成功の最大のポイントだと考えている。

文・黒坂岳央(高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表)/ZUU online

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