◆遺影や仏具のあるスペースを“明るい場所”として

遺影のスペース
――お客さんにはどのような想いで仏具を届けているのでしょうか。

大切な人と話せない、触れられないことは、本当につらいことです。そういうつらさがあるからこそできる限りのことをしたいと思いますし、お客様がほしいと思うものを一生懸命考えて制作するようにしています。

大切な人を亡くした経験から、悲しみが再び襲ってくるのではないかと思ったり、家族の間で気を遣って話せなくなってしまったりすることは珍しくありません。ですが、故人にぴったりの場所があれば、たとえば「今日こんなものを買ってきたよ」という会話が生まれるでしょう。なので遺影や仏具のあるスペースは“明るい場所”として、お客様に提案したいと思っています。

――ご自身の経験からも仏具や仏壇という存在が、お子さんの死を受け入れるきっかけになったと感じていますか。

うちの家族に関しては、娘のための場所があることで、家族全員で娘を認識し、“仏様”という特別な存在ではなく家族の一員として受け入れています。私自身も、大きな変化があります。これまでは花を飾る習慣などは私にはなかったのですが、季節の花を仏壇に飾るようになりました。お盆には季節の野菜を使ったお盆飾りをするようになりました。娘がいろいろなことを教えてくれているような気がします。