FIFAのルールでは、国際Aマッチウィークに開催される代表の試合については、クラブが選手の派遣を拒否することはできない。しかしオリンピックは国際Aマッチウィーク外の開催のため、クラブが選手の派遣を拒否することができる。そのため、海外で活躍する多くの選手やこの夏に移籍する可能性がある選手を代表に呼ぶことができなかったのだ。

「欧州のリーグは現在オフシーズンで移籍市場が活発に動いているところ。移籍してすぐの選手をオリンピックに送り出すと、クラブの方はチームにフィットさせる時間が作れなくなり、デメリットが大きい。松木玖生はオランダのSCヘーレンフェインやイングランドのアストン・ヴィラへの移籍が噂されていましたが、プレミア・サウサンプトンへの完全移籍が報じられました。鈴木彩艶にしてもイタリアのパルマへの移籍が濃厚です。五輪のルールではけがや体調不良以外に選手の入れ替えができないので、代表チームとしても移籍を原因に離脱する可能性がある選手を避けるのも仕方ないことでしょう」(サッカー記者、以下「」内同)

 今回のパリ五輪のメンバー選出において、Jリーグでは各クラブから派遣できるのは2人までという制限を設けていた。松木が所属するFC東京からは、GK野澤大志ブランドンとMF荒木遼太郎が選出されている。

「FC東京側は、協会から3人以上の選出を打診され、それに応じる意向を協会に伝えていたと明らかにしているので、当然松木も選ばれるものだと思っていたはずですよ。しかし、蓋を開けたら松木は落選で、公式発表もないのに山本ナショナルディレクターが『移籍の可能性がある』と言う。FC東京としては協会に対する不審感が募る発表だったでしょう」