◆有効な治療法「EAT」

『その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった』
 慢性上咽頭炎には現在、処方できる薬はありません。ですが、ご安心ください。たいへん有効な治療法があります。

 それが「EAT(イート・上咽頭擦過療法)」です。手法としては単純なもので、0.5~1.0%濃度の塩化亜鉛の溶液を浸み込ませた綿棒を鼻から、咽頭捲綿子(のどの奥に薬を塗るための医療器具)を口から直接入れ、上咽頭にこすりつけるという治療法です。

 EATを行ったとき、慢性上咽頭炎がある人と、そうでない人とでは、反応がまったく違います。

 上咽頭は常に体外からの異物の侵入にさらされているため、健康な人でもある程度の炎症があるものです。

 けれど、それが病的な炎症でない限り、EATを行ってもさほどの痛みはありません。出血もないか、あっても軽度です。

 ところが、上咽頭に病的な炎症が起こっていると、綿棒をこすりつけることで激しい痛みを感じるのです。大の大人でも耐えきれずに涙を流すようなことが珍しくないほどです。

 また、炎症が激しいほど大量の出血が起こり、挿入した綿棒に血が付着します。白い塊状の膿(死んだ免疫細胞や細菌、ウイルスなどがたまったもの)が取れることもあります。

 こうした痛みや出血の程度が、慢性上咽頭炎を見分ける重要なポイントの一つになります。EATは慢性上咽頭炎の「治療」になると同時に、「診断」にもなるのです。