◆痛みのあまり泣き出したNさん
そんな折、テレビで地方放送局の番組を見た家族にすすめられ、12月に当院(医療法人モクシン堀田修クリニック)を受診しました。なお、当初は味覚障害と嗅覚障害もありましたが、それらは3か月ほどで回復したとのことでした。
診療室に入って来たNさんは、目に力はなく、眉間にはしわが刻まれ、首はうなだれ、か細い声で、全身から体調不良のオーラが漂っていました。
Nさんはネットなどで調べてEATについてはすでにご存じでしたが、初回治療は鼻からの細い鼻綿棒を用いたEATのみとしました。咽頭捲綿子を用いた口からのEATは患者さんがよりつらいと感じることが多く、この状態のNさんには負担が大きいと考えられたからです。
綿棒には血液がべっとりと付着し、Nさんは痛みのあまり、泣き出しました。気持ちが落ち着くのを待ち、「激しい慢性上咽頭炎があること」「次回からも負担が大きい口からのEATは行わないこと」「EATを続ければ今の症状が改善する可能性が高いこと」を説明した後、Nさんはとぼとぼとした足取りで診療室を出て行きました。