◆道長との最後のシーンは、台本から変更が加えられた

NHK『光る君へ』藤原道兼
そして道兼と道長の最後のシーンは、リハーサルで変更が加えられた。

「台本上では、疫病にかかってしまった道兼の見舞いにきた道長と、御簾越しに会話をして、“お前はこれからの人間だから、ここで死んだりしたら大変だ”と入ってこようとするのを突っぱねて、道長はそのまま去っていくとなっていました。それを佑くんが、“道長は御簾の中に入って行く。兄に寄り添う”と提案してくれたんです。道兼がゴホゴホ咳をして倒れ込むところをたまらず御簾をバンっとはねのけて入って来て、背中をさすりたいと。

もちろん御簾越しのやりとりでも演じられるし、もしかしたらそのほうがいいかもしれない。けれど、そこを佑くんが提案して、かつそれを貫き通してくれた。道長として道兼に再度寄り添ってくれたことに、“兄上は変われます”と言われた転換期があって、道長に救われたと思っていた思いが、その瞬間、一方的なものじゃなかったと分かった。すごく嬉しかったです」