◆死後の映像シーンについても監督とやりとりできた作品に

しかしその変化からほどなく、道兼は命を落とす。この死の描写について、本編で用いられることはなかったものの、第18回演出の中泉慧と、印象的なやりとりがあったと言う。

「道兼が死んだあと、台本上では風景描写がインサートされることになっていました。そこの描写をどうしようかという話を中泉さんとお話できる機会があったんです。どういう映像になったかはここではお話しませんが、儚さの象徴として中泉さんは、死んだ蝶々をアリが運んでいる描写を入れたいとお話されていました。

そのとき僕は、第2回(「めぐりあい」)で父上と山の上から見た風景を改めて挟むのはどうかと提案させていただいたんです。あの風景が、18回まで経って、今どう視聴者に見えるか提示するのはどうかと。全く同じ風景なんですけど、15回からの4話で、道兼の印象もそうですし、あの風景自体もガラッと変わって見えたりしたら面白いんじゃないかと思ったんです。

それにしても死んだ後のインサートについて出演者と監督が話すというのは、なかなかないことです。僕自身は出ていないわけですから。そんなすり合わせをさせてもらえるなんて思っていなかったので、すごく印象に残っています」