経済的に就学が困難な学生をサポートする奨学金制度。2018年11月に独立行政法人日本学生支援機構が実施した「学生生活調査」の結果によると、大学生(昼間部)の47.5%が利用しており、進学を希望する人にとって、とても頼りになる制度と言えそうです。しかし、奨学金の利用に不安や抵抗を感じる人もいると思います。ここでは奨学金制度の実情について、紐解いてみましょう。

奨学金とは?どれくらい借りられるの

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奨学金には、卒業後にお金を返還する「貸与型」と、返還する必要がない「給付型」があり、運営団体によって支給金額や申込資格は異なります。なかには、成績が一定以上であることを条件に挙げている奨学金や、高校在学時に申請が必要な奨学金もあるため、利用を考えている人は先生に相談するなど早めに情報収集しましょう。

奨学金のなかでもっとも利用者が多い日本学生支援機構(旧日本育英会)の貸与型奨学金では、第一種(無利息)奨学金が、国公立大へ自宅から通学する場合、月額20,000円・30,000円・45,000円から選択、国公立大へ自宅外から通学する場合、月額20,000円・30,000円・40,000円・51,000円から選択となっています。

私立大学へ自宅から通学する場合は、月額20,000円・30,000円・40,000円・54,000円、自宅外から通学する場合は、月額20,000円・30,000円・40,000円・50,000円・64,000円から選択できます(2021年度入学の場合)。

区分 自宅から通った場合 自宅外から通った場合
国公立大学 20,000円・30,000円・45,000円 20,000円・30,000円・
40,000円・51,000円
私立大学 20,000円・30,000円
・40,000円・54,000円
20,000円・30,000円・40,000円
・50,000円・64,000円

そのほかにも、私立大学が独自に設けているもの、親を亡くした・働けない家庭の子どもを支える民間非営利団体「あしなが育英会」、在学中に新聞配達業務を行うことを条件に新聞社が学費を肩代わりする「新聞奨学生制度」などがあります。それぞれ情報はWEBサイトなどで収集できるので、自分に合った条件の奨学金を選択しましょう。

学生生活にかかるお金って?

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日常のスケジュールの多くを自分で決められる大学生活は、高校時代と比較すると自由時間が増加します。授業のほか、サークルや趣味活動、アルバイトなどで行動範囲や交友関係もぐんと広がるはずです。このように楽しみが増えると、同時にお金も必要となってくるのが現実でしょう。

大学生の支出は、授業料や教材費など学業に関するものだけではありません。自宅外から大学(昼間部)に通う下宿生の場合は、住宅・光熱費は全国平均年額471,300円、食費は全国平均年額284,600円(いずれも日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査」より)などの生活費も必要です。

また、時間に余裕のある学生の間にいろいろなチャレンジをしたいと考えている人もいるでしょう。たとえば、運転免許の取得費用は約280,000円、国内旅行は1回平均54,000円、留学は2週間ほどで200,000~400,000円。そのほかにも、習い事や就職活動にかかる費用、帰省時などにも、まとまったお金が必要です。

充実したキャンパスライフに「お金」は不可欠

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奨学金は、月々現金が振り込まれるものが一般的のため、学業に関すること以外にも利用可能です。今だからできること、やりたいことを1つずつ叶えていくためにも、「お金」は必要であり、使い方についてきちんと考え、学ぶことは将来においても大切なことです。

しかしながら、奨学金のほか、お小遣いやアルバイト代などを合わせても、使える「お金」には限りがあるはずです。だからといって、授業を休んでアルバイトに精を出していては、何にために進学したのか、本末転倒です。奨学金の本来の意義を考え、実りある学生生活を送るための「資金」として、計画的に使いましょう。