◆想いを伝え、越前へ
内裏の動揺が続く中、藤原為時(岸谷五朗)の越前出立の日が近づいていた。そんな折、為時は道長に呼び出される。越前には多く宋人が訪れているが、彼らが求めているのは国同士の商い。しかし、朝廷はそれに応じない、と伝え、宋人たちを帰国させよ――。これが為時に課せられた役目だった。為時としては気が重いらしく、その表情は冴えない。
一方、まひろは道長(柄本佑)に文を書く。越前へ向かう前にふたりはあの廃邸で対面する。
定子を追い詰め、伊周を追い落としたのは道長なのか。これは宣孝(佐々木蔵之介)が話していたことであり、実しやかに流れている噂。道長は伊周が邪魔だし、詮子(吉田羊)は定子を疎ましく思っていた。今の状況は道長にとって好都合である。
まひろの問いに道長は肯定するが、その表情から道長のはかりごとではないと察する。かつて、友である直秀(毎熊克哉)が死んだとき、道長は自分が殺したようなものだと言った。今回のことは直秀の件と通ずるものもある。道長が謀ったことではないが、結果的にそうなってしまった。会って顔を合わせれば、こんなにも通じ合うことが多いふたり。