■ドラマは道徳の先にある

 家出少女は母親のタトゥー彼氏と、エースの女性は風俗客と、それぞれ望まない性的接触をして、その結果として魂を食われている。

 家出少女はトー横に立ち、薬局から鎮痛剤を万引きして、ODを繰り返している。エースは風俗で稼いだ金を、大して男前でもないホストにつぎ込んでいる。どちらも愚かな行為だし、まともじゃないし、道徳的じゃないし、夜の歌舞伎町に入り浸るというのは、そういうことです。

 20年くらい前には当時の石原慎太郎都知事のもとで「歌舞伎町浄化作戦」と銘打たれた治安回復の動きもありました。

『新宿野戦病院』は、浄化される側を描いたドラマです。浄化する側として登場したNPO代表の舞ちゃん(橋本愛)は人気SM嬢としてHPで顔出ししています。そして、自らの愚かさを自嘲するホス狂風俗嬢に、こんなことを言うのです。