◆災害より長くつづくPTSD

さいきまこインタビュー前篇
※画像はイメージです(以下同)
トラウマ体験には戦争や被災、交通事故なども含まれるが、それらと比べても性暴力被害はその後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)となる確率がずっと高いことが、世界規模の研究でわかっている(*)。PTSD診断の平均持続時間についても、性暴力被害の場合は110カ月、事故災害の場合の41.2カ月とは大きな差がある。

*Kessler, R. C et al.(2017). Trauma and PTSD in the WHO World Mental Health Surveys. European Journal of psychotraumatology. 8(sup5)

さいき「スクール・セクシュアル・ハラスメントの防止と被害者支援を目指す団体への取材で、相談の電話をかけてくるなかには60、70代の人もいると聞きました。その年齢になるまで、ずっと誰にも言えなかった。それどころか、自分が性被害を受けたのだと気づきもしなかった人もいると思います」

主人公の養護教諭・莉生が出会った被害女性・円城遥(えんじょう はるか)は、それを「時限爆弾」と表現する。いつ爆発するかわからない時限爆弾を抱えて生きる、その人生がいかに困難か。