『言えないことをしたのは誰?』著者のさいきまこさんは、学校内性暴力という、性暴力のなかでも特に表に出てきにくいものを描くために、連載に先駆けて1年以上を取材に費やしたという。
そのなかで思い知ったのが、性暴力被害者がトラウマを抱えながら生きる時間の長さだ。
さいきまこさん(以下、さいき)「性暴力は被害に遭っているそのときがつらい、というイメージが社会に根強くあると思います。だから『忘れて、前を向きなさい』と被害者に声をかける人がいる。その瞬間の記憶を捨て去ることができたら、あとは立ち直れるでしょう、という意味なのだと思います。
これはセカンドレイプのひとつですが、トラウマが何年どころか何十年、人によっては一生を支配されるほどつづくと知らなければ、これもよかれと思っての声がけになるのでしょう」