◆自分を責めるしかなかった

さいき「そうして相談される方たちも、60、70代まで時限爆弾が爆発しなかったわけではなく、早々に爆発していた人も多いと思います。でもそれがたとえば、『中学のときに先生から受けた性暴力』が原因だ、と気づくのはむずかしい。

遥も精神科を受診し、うつ病の薬を処方されていました。けれど服薬しても、まったくよくならない。本当の原因にたどり着いていないからです。ずっと不安定で、何をやってもうまくいかず、自分はダメな人間だと思う……電話相談してくる60、70代の女性たちも、そんなふうに自身を責めながら生きてきたのではないでしょうか」

文部科学省の調査(2022年「人事行政状況調査」)によると、児童生徒または18歳未満の子どもに対し性暴力を行ったとして、2022年度に処分を受けた公立学校教員は、119人。いうまでもなく氷山の一角に過ぎないが、1人の教師が出した被害者が1人とはかぎらない点にも注意が必要だ。

『言えないことをしたのは誰?』の加害教師も、何年にもわたって複数の女子生徒を毒牙にかけていた。校内で加害行為をしていながら発覚しなかったから、つづけてこられた。なぜそんなことが可能なのか?