夫がWキャリアのシナリオ

夫がいったん仕事を辞めて大学院に入り、セカンドキャリアを立ち上げるシナリオです。妻は正社員のため、第二子が小学校に上がるまでは、夫の年収はやや低くなります(「妻が正社員のシナリオ」を参照)。

第二子が小学校に上がる47歳で、夫は仕事を辞めて2年間大学院で勉強。退職金700万円を受け取り、在学中の2年間は無収入です。大学院修了後はセカンドキャリアを立ち上げ、50代は年収800万円、60~64歳は600万円、65~69歳は400万円の年収を得て、70歳でリタイア。

この試算だと、年間収支で支出が収入を超えるのは妻が70歳を超えてから、赤字幅は「正社員シナリオ」よりは少なめです。加えて、晩年の貯蓄残高は、「妻が正社員シナリオ」の場合より1000万円ほど多い計算になります。

夫の働きをセーブしても妻の安定した収入がある方が強い

これらのシミュレーションから分かることは、夫の片働き&妻のワンオペ家事育児体制では、晩年の貧困を招きやすいということです。夫が育休を取ったり残業なしで働いたりすることで夫の収入が減ったとしても、妻が正社員として定年まで働くなら十分に補えることがわかります。

そのうえ、夫が無収入の時期を妻の稼ぎで補うことができれば、学び直しによるセカンドキャリアの形成と年収アップといった、さらなる可能性が開けるでしょう。もちろん、学び直しは夫と妻が逆になっても成立します。

夫と妻のどちらもが「稼ぐサイド」と「家事育児サイド」に回ることができ、柔軟に対応できるカップルは、交代しながらお互いのキャリアを支え、人生の自由度と経済維持力をアップさせることができるのです。

逆に言えば、家事育児を妻がワンオペで引き受けざるを得ない状況であれば、結婚したとしても経済不安が解消されるとは言い難いようです。

独身女性は社会の「burden=お荷物」なのか

(写真=View Apart/Shutterstock.com)

最後に、独身女性の懸念のひとつ、社会が独身女性に向けるまなざしについて考えてみましょう。日本ではまだ、独身女性に対して子供を持たないことの責任を問う風潮があります。

2018年5月、自由民主党の衆議院議員である加藤寛治氏が「結婚しなければ子供が生まれない。(女性は結婚して子供を産み育てなければ)人さまの子供の税金で老人ホームに入ることになる」と発言して社会的な問題になりました。しかし日本から外に出てみると、この件はどのように捉えられていたのでしょうか。

日本での報道の後すぐに、イギリスの公共放送BBC(英国放送協会)と大手一般紙Guardian(ガーディアン)が、「日本で『独身女性は社会のお荷物』と議員が発言」という見出しで、この件について取り上げました。

見出しに使われた「burden=負担、荷物」という言葉に、これらの報道機関の強い驚きと問題意識が込められていると感じます。報道の内容は基本的には事実関係を伝えるものでしたが、日本の女性議員から「セクハラ発言」「性差別的」という批判が上がったことにも言及。

ガーディアン紙では、2007年に当時の厚生労働大臣柳澤伯夫氏が「女性は産む機械」と発言したことなども紹介し、「日本の政治家が『女性は子孫を残すことを第一の役割と考えるべき』との意を示唆したのはこれが初めてではない」と批判しました。

日本国内でも波紋を広げた話題でしたが、外国メディアがこれだけ強い取り上げ方をしたことから、もはや独身女性に対するこのような見解は世界基準ではNGになっていることが分かるのではないでしょうか。

結婚するもしないも、決めるのは自分

(写真=Beyla Balla/Shutterstock.com)

結婚するのかしないのか。したくないのかできないのか。それとも、しなければならないのか。いわゆる適齢期と呼ばれる年代の女性が頭を悩ます問題だと思います。ですが、ここはシンプルに考えてみましょう。一番大事なのは「自分は結婚で幸せになれるのかどうか」、そのポイントではないでしょうか。

外からの不安に押されて不本意な選択をしてしまわないように、多方面からさまざまな情報を集めてみましょう。もし独身であることに不安を感じるのなら、「結婚は不安に対する万能の処方箋ではない」ということを思い出してください。

あなたは結婚してもしなくても、どちらを選んでもいいのです。独身を選ぶなら、シングルライフに備えつつ自分の人生を充実させていきましょう。結婚するなら、仕事と家庭を両立できるように、お互いにサポートし合える相手と人生を築いていきましょう。

どちらの道を選んだとしても、あなたが楽しく幸せに人生を進んでいくことを、応援しています。

文・菊池とおこ/DAILY ANDS

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