◆泉谷星奈の名演技に実は大人じゃないかと思ってしまう
「聞かなくていいよ」とイヤホンを貸して周囲のノイズからシャットアウトさせたうえで、スマホに残してあった水希のムービーを海に見せる。それは海(sea)が大好きだった水希と海に行ったときの思い出の映像だった。
満面の笑顔で浜辺を海(sea)に向かって走る水希の生き生きした姿に海(娘)は見入る。映像を見ながら泉谷星奈がゆっくり笑顔になるところが名演技過ぎる。とても大人びていて、実は大人なんじゃないかと思ってしまう。まさか死んだ水希が乗り移っているんじゃないかと思うくらい(それは違うドラマ)。
夏と海、ふたりにとって水希は大事な存在で、その大切な人の記憶を、ふたりは一瞬共有する。ただそれだけの行きずりの関わりのはずだった。ところが、東京に戻ってきた夏の部屋に、海がひとり訪ねてくる。かつて水希に部屋まで連れてきてもらったというのだ。海に「夏君、海のパパでしょう?」と問いかけられて……。
ぞくり。知らない間に自分に子供がいて、すっかり大きくなっていたらかなりビビる。
しかも、突然、訪ねて来て、前に母につれて来られたことがあると大人びた調子で言われたら、その動揺はかなり激しいに違いない。いまはほかに恋人がいて、この部屋に通ってきているのだからなおさらだ。
ただ、夏は水希と8年くらい会っていなくて、海は6歳。一瞬、夏と別れてから子供ができたのかなと思うような、いろいろミステリアスな煙幕も張りつつ、やっぱりーーという展開(海はもうすぐ7歳になることがわかる)。