◆まったり見ていたら、最後にぎょっとなる
濃いめのアイスラテのようにほろ苦い青春の恋の思い出を、琥珀糖(こはくとう)のような透明でひんやりした映像でまったり見ていたら、最後にぎょっとなる。ホラーとまではいかないけれど、これからの月岡夏の行く末を思うと心がざわつく。
月岡夏には、百瀬弥生(有村架純)という年上の恋人がいる。ある日、夏の部屋で夕飯を食べながら夏休みの予定を考えていたところ、思いがけない連絡が入る。大学時代、夏がつきあっていた水希が亡くなったのだ。
葬儀に参列した夏は、そこで6歳になる水希の娘・海を気に留める。水希はこの6年、シングルマザーとして娘を育てていたのだ。
幼い少女・海の傍らには、祖母・朱音(大竹しのぶ)や水希の勤務先の同僚・津野晴明(池松壮亮)がいる。津野は、海の父親なのか?と夏が勘違いするほど、海に親身だ。
とはいえ、やっぱり母ひとり子ひとり、母を亡くした水希を「かわいそう」と無責任に同情する外野に夏は苛立(いらだ)つ。