◆向井理、実はチームワークを大事にものづくり

パルコ・プロデュース 2024 ウーマン・イン・ブラック ~黒い服の女~
パルコ・プロデュース 2024 ウーマン・イン・ブラック ~黒い服の女~より 撮影:御堂義乗
『ウーマン・イン・ブラック』を見ていると、向井理という俳優は、数々のテレビドラマの出演作の印象から、ビジュアルの良さでセンターに立つイメージがありながらも、意外という言い方もあれだが、チームワークを大事にしながら実直にものづくりに寄与するタイプなのではないかという思いを確かにできる。

向井と勝村に筆者がインタビューしたとき、勝村が向井のことをこう評した。“イケイケで点取り屋かと思ったら、センターバックをやっていた。ビルドアップ(パスのつなぎ方)のしかたとかもうまい。だいたい、後ろのポジションはまわりが見えているから、芝居もうまい人が多いというのが自論です。”(SPICE「『ウーマン・イン・ブラック~黒い服の女~』は観客体験型の作品 鮮やかなコンビプレーで勝村政信と向井理が公演の魅力を語る」より)。

この話、6月7日に向井がゲスト出演したNHKの情報番組『あさイチ』でも言っていたから、筆者の聞きたいことをサービスで話してくれたわけではないと思う。

パルコ・プロデュース 2024 ウーマン・イン・ブラック ~黒い服の女~
パルコ・プロデュース 2024 ウーマン・イン・ブラック ~黒い服の女~より 撮影:御堂義乗
センターでイケイケなスターもいるが、その人だって支えてくれるまわりに気を遣う。芝居はチームワークなのだ。どこにいても身長的に頭一つ抜けて見える向井理だが、あくまでチームの一員という自覚をもち、場に溶け込んで見えるところに好感が持てる。

時々、筆者が俳優に取材して聞く話のひとつに、演劇の国イギリスの俳優は、ふらりと自転車や徒歩で、リュックひとつで劇場の楽屋に入り、芝居を終えたら、近くのパブで飲んですっと帰っていく、芝居が特別なものではなく日常生活の一部のようでいいという話がある。向井理はそういう俳優になりそうと思えてならない。