ところで、皆さんは「PFAS」というのを知っているだろうか?
ピーファスと読む。新潮によれば、約1万種ある有機フッ素化合物の総称らしいが、自然界には存在しないで、分解されにくいため「永遠の化合物質」とも呼ばれ、水などを介して人体に取り込まれると、臓器などに蓄積され、発がん性や高コレステロールなどを伴う脂質異常症、乳児・胎児の発育低下などが起きると、WHOやアメリカの学会でいわれているそうである。
特にその中でも有害性が高い化学物質は日本でも輸入や製造が禁止になっているという。
そんな有害なものが、全国各地の河川や地下水などの水資源で相次いで検出されているというのである。
ようやく政府も本腰を入れて対策に動き出し、6月20日には内閣府食品安全委員会の作業部会が、PFASの健康への影響の評価書を取りまとめたそうだ。
また関係省庁に対して、水道水におけるPFAS濃度の基準値策定を求めているという。
これまでも環境省は、PFASの実態調査を行っては来たが、2022年の調査で対象になったのは38都道府県に過ぎなかった。
今回新潮は、現時点で判明した最新の調査をもとに、国の暫定指針値を超える高濃度のPFASが検出された地点をまとめ、表にしている。
PFAS研究の第一人者の京都大学大学院医学研究科の原田浩二准教授は、
「フッ素樹脂などを製造過程で使用する工場の近辺、それに空港や航空基地のある地域で、高濃度のPFASが検出されています」
と話している。
フッ素関連製品の製造を行う工場のある大阪府摂津市や静岡県静岡市、半導体製造を行う工場のある大分県大分市、フラッシュメモリ製造を行う工場のある三重県四日市市。こうした地域では、製造過程で使われたPFASが完全に処理されないまま排水や地面に流出したり、製品を乾燥させる過程で大気中に拡散されてしまう。
「PFASはあらゆる製造現場で使われる便利な素材なので、排出源となりうる工場は全国各地に存在しているのです」(原田)
これは新たな公害ではないか。
そうして蓄積されていったPFASが地下水へ染み込み、水道水が汚染されていくというのである。
東京国分寺市に住む主婦(71)は、心配になったので夫とともに血液検査を受けたら、PFAS血中濃度が1ミリリットル当たり20ナノグラムを超えると特に注意が必要といわれているのに、彼女の数値はPFOSとPFOAを合わせて33.3ナノグラムもあったというのだ。
環境庁が選定する「名水百選」にも選ばれたこともある湧水のあることで知られる国分寺市は昔から豊富な地下水を水道水の一部に活用してきた。
先の主婦は、市は水道水は安全だと広報しているが、住民は不安がっていると思うと話す。それが証拠に、近所のスーパーで2リットル入りのペットボトルの売り切れが目立つようになってきたそうだ。
このPFASについてはこれからも報道していくそうだから、注視しておきたい。