◆さりげなくもシビレるフレーズ
その意味で、彼女こそ日本最大の世界的なスーパースターだと筆者は思うのだが、スズ子を鼓舞したラジオから流れる声だけですごい凄みを利かせる菊地凛子の演技もただ事じゃない。
スーパースター淡谷のり子を演じるというのに、菊池は物怖じするどころか、どっしり堂々としている。第9週第45回、梅丸学劇団の解散で悶々とする毎日のスズ子がふらりと観に行ったのが、りつ子のコンサート。
「別れのブルース」のワンコーラスを聴けば、スズ子同様に視聴者も息を呑むしかない。感動して楽屋に押しかけてきたスズ子を軽くあしらいながらも、りつ子はこう言う。「こんなご時世いつ歌えなくなるかわからないんだよ」。さりげない口ぶりだが、これはシビレる。必殺フレーズだ。
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