◆映画に愛される人
確か、一言か二言、話しただけだった気がするが、その可憐さと映画的な佇まいにすっかり魅了されてしまった。イケメン研究を生業にしている筆者だけれど、このときばかりは目の前にいる河合優実という存在しか目に入らない。
唾をつけると言ってはなんだけれど、彼女のその後の活躍に豊かな期待を抱いた。思った通り、それ以降の河合優実の大躍進ぶりはすさまじい。『サマーフィルムにのって』(2021年)出演を機に、話題作に次から次へ。
伊藤健太郎の復帰作として阪本順治監督が用意した『冬薔薇』(2022年)や『ひとりぼっちじゃない』(2023年)では、一見可憐さとは正反対に見えて、その実、底から身震いするほどの純度を誇っていたと思う。心底映画に愛される人。それが河合優実の美点であり、比類なき才能だろう。