◆主演俳優は河合優実
山中監督の受賞はさらに日本大学芸術学部の在学生、卒業生にとっては特別嬉しいことでもある。山中監督もまた所謂、日芸生だったからだ。卒業生である筆者にとっては、映画学科監督コースの後輩にあたる。休学中の彼女が初めて長編を監督した『あみこ』(2017年)の話題は今でも語り種だ。
でも単に後輩が受賞したから嬉しいのではない。『ナミビアの砂漠』の主演が河合優実だからでもある。実は河合とはちょっとした縁がある。筆者の同期生だった嵐あゆみ監督が、日芸卒業後に進学した東京藝術大学大学院の修了作品として監督した『透明の国』(2020年)の主演俳優が、河合優実その人だったのだ(しかも同作の指導教員は、青山監督の大学の先輩である黒沢清監督!)。
公式には『透明の国』が映画初主演作品になるのかな? そんなつながりで、筆者は一度、河合に挨拶する機会を得た。渋谷のユーロスペースで行われた上映会のあと、ロビーで監督から紹介してもらった。第一印象は可憐。ひと目見てわかる。あぁ、この人は例えば、大瀧詠一の楽曲に描かれるように鮮やかな可憐さの持ち主だと。