◆映画史に接続された山中瑶子監督

 山中瑶子監督の最新作『ナミビアの砂漠』が2024年5月25日(現地時間)、第77回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。これが紛れもない快挙だと日本のメディアで報じられても、アカデミー賞などに比べていまいちピンとこないかもしれない。国際映画批評家連盟賞は、コンペティション部門とは別に独立した部門。

 華やかなカンヌ本賞に比べたら、地味と言われたら地味。本賞より同賞に注目する人はよっぽどの映画好きかもしれない。過去には日本人監督の作品として、青山真治監督の『EUREKA』(2000年)やアカデミー作品賞にもノミネートされて話題になった濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(2021年)が受賞している。

 青山真治監督は、2000年代以降の映画界はその名を置いては語れないくらいの存在なのだが、そんな映画史の文脈に山中監督が今回接続されたことが、ほんとうにすごいことなのだ。