◆故人を立体化する難しさに「最初はお断りしていた」

ロイスエンタテインメント 廣瀬勇一社長
ロイスエンタテインメント 廣瀬勇一社長
──ではもともとは御社発信のサービスではなく、お客さんの要望に応えて作ったという経緯だったのですね。

山岡:実はそうなんです。

廣瀬社長:正直に言うと、最初はご依頼をいただいてもお断りしていて……。というのも、故人を立体化するにあたり、技術的なハードルがさまざまあるためです。まず、ご存命の方のフィギュアを作るにはご本人の身体をスキャンしてデータを取るのが基本的な製作過程ですが、故人の場合それができないので、お写真を元に作ることになります。

ご遺族から借りたお写真を元に作ることもできますが、撮られた時期や表情もバラバラだったりするので、正確なデータを取るのが難しいだろうということは、サービスを始める前から懸念していたので、気軽には始められませんでした。

しかし、「どうしてもお願いしたい」と熱量の高いご要望に押されるかたちで始めると、多くの方が喜んでくださったので、続けて今に至っています。こちらも可能な限り故人の在りし日に近いかたちで仕上げたいので、「できるだけさまざまな角度から撮影した複数枚の写真をご用意いただく」「正面のお顔が映った写真は必須」「手振れやピンボケが無いお写真で」などの注意事項を事前にご案内したり、3Dデータの段階でご確認いただくようにしています。