◆“ビジネス的にはNG”でも続けているワケ
──そのような事情があるなか続けているのには、どんな理由があるのでしょうか。
廣瀬社長:技術的にも難しいですし、いろいろなコストがかかるので販売価格も決して安くはない遺人形ですが、それでも「作ってほしい」というご依頼者の気持ちを考えると、やっぱり大切な人がこの世を去ったということをまだまだ消化できていない方が多いのではないかと思います。だからビジネス的にはNGだけど、こういうサービスがあってもいいんじゃないかなというのが、続けているひとつの理由ですね。
それから、実際にお客様とやり取りをしている担当者のふたりが一番難しさを肌で実感しているはずなのですが、これまで「辞めたい」と申しだされたことはなくて。
三島:お問い合わせしてくださる方も、大切な人が亡くなってつらい思いをしてる中で、少しでも何かを心の支えにしたいというお客様が多いんです。ご依頼時やヒアリングの際にお電話をすると、つらい胸の内をお話をされる方もいらっしゃいます。
山岡:3Dデザイナーが多数いる弊社の特徴は、リアルな造形で仕上げられるクオリティですので、これまでフィギュア製作で培ってきた技術をもって、お客様の要望に可能な限りは対応したいというのが私の思いです。でき上がった遺人形を受け取ったお客様からは「立体物ならではの存在感があって、まるで故人が帰ってきたようだ」というお言葉もいただいています。