◆病床では「これで終わってしまうかも……」と思いを巡らせていた

池上季実子
――デビュー50周年を迎え、SNSなどを見ていてもポジティブに日々を過ごされている印象ですが、その原動力はどこから湧いてくるのでしょうか?

池上:自分でも元気な人間だと思っていたので、まさかコロナで倒れて“お花畑”を見ることになるとは思っていなかったわけです。ただそうなると、人間いつ死ぬか分からないから、無駄な時間は嫌だなと思うようになるんです。

それまで以上に好きな人に会い、食べたいものを食べ、大好きな仕事、芝居をいっぱいしたいと思うようになる。単純な理由です。もともとそういう性格でしたけれど、余計にそれが強くなりました。

――2022年にコロナになり生死の境をさまよったと話題になりましたが、病気で落ち込まず、反対にもっと気力が出てきたわけですね。

池上:病院でひとりでいると、だんだん頑なになってくるんですね。テレビでは新しいドラマがたくさん放送されるので、自分はずっと病室にいると置いて行かれた感じになってしまう。長らく芝居をやっていたけれど、これでもう自分は終わってしまうかもしれないと。何のために自分は芝居をやってきたのかと思うんですよね。

ベッドの上で、本当にいろいろと想うわけです。自分の青春時代、遊びたいけれど遊ばなかったですし、子どもできて子どもを育て、母子家庭で頑張ってきたこと。寝る間も惜しんでやってきた仕事だって。