◆リアルな白髪のため、髪の毛を6回も脱色

「風の奏の君へ」
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――髪の毛の色も何度も抜いたそうで、見た目もガラリと変りましたね。

池上:白く染めただけでは、大きな画面に映ると分かってしまいますからね。リアルにしたかった。まず西麻布の美容院に行きましたが、そこでは2回やりましたが、あまりやってくれなかったんです(笑)。

それで知り合いの藤沢の美容院に行って、3回目。もともとがすごく黒い髪の毛なので、茶色や黄色になっちゃうんですね。でも白くならなきゃ意味がないと、4回、5回、合計6回やりました。それでもミルクティーみたいな色が残ったので、ロケ地の岡山に行って撮影までの3日間もナチュラルに馴染ませて、それから撮影しました。

――雄大な岡山の自然を背景に、恋愛などさざまなテーマで語られる物語でしたが、完成した映画を観てどうでしたか?

池上:人間の心の襞(ひだ)、特に若い3人の青春の心の襞(ひだ)をはじめ、日本の今の置かれている過疎化の問題、昔からあったお茶の伝統、そういうわたしたちが普段忘れがちなものをさりげなく伝えている映画で、わたしはすごく好きでした。そこへ松下奈緒さんが奏でるピアノが、おしゃれにミックスしている。地味ではありますが、さりげなくテーマがつまっている作品ですので、一度ご覧になってほしいです。