◆優三に代わる“驚異的な三枚目役”
「君も正しい、俺も正しい。それでいいだろ」と言って、半ば一方的に議論を打ち止めた多岐川は、炙ったイカをぱくり。さらに日本酒をぐびっと飲み始める。家庭裁判所設立という大役を担う室長の行動として、これは先が思いやられる。
いやでも確かに役柄としての役目は家庭裁判所設立だけれど、寅子との口論のコミカルな間合いなど見ていると、滝藤自身はあえて三枚目キャラを引き受けているように思われる。
寅子の戦死した夫・佐田優三を演じた仲野太賀が徹底的に三枚目を担っていたが、優三がいない今、自分が驚異的な三枚目役を一身に背負っていこうという強い意思すら感じてしまうのだ。