お次は岸田文雄というかつてないほどの“無能”な首相の話にのせられた、哀れな庶民のお話。
岸田首相は、今年を「資産所得倍増元年」として、貯蓄するのではなく投資へシフトすると無責任なことをいいだし、そのため新NISA(少額投資非課税制度)をスタートさせたが、国がリスクのある株に投資しろと、株屋のようなことをいい、それに虎の子の資産を闇雲に投資した株の初心者たちを早速震え上がらせたのが、NTT株の“暴落”だと新潮が報じている。
新潮によると、「『新NISA』が開始されてから半年がたった。6月12日に金融庁が発表したところによると、今年3月末時点でのNISAの口座数は2322万7848口座。NISA口座を通じた今年1~3月の買い付け額は6兆1791億円で、うち成長投資枠が5兆1355億2762万円、つみたて投資枠が1兆435億9989万円。商品別では投資信託が56.7%で、上場株式は40.2%だったというから、成長投資枠で上場株式を買っている人も多いことがうかがえる」そうだ。
そんな「NISA勢」に人気の個別株の一つが、日本を代表する通信会社「NTT」の株であったことは間違いない。
「株式会社QUICK」の調査によると、ネット証券5社における今年4月のNISA経由のNTT株購入額は149億円で個別株首位。保有残高は641億円で3位だったという。
「NTT株は昨年7月に25分割された。その理由を『2024年から新しいNISA制度が導入されることも踏まえ』と説明したNTT社のもくろみ通り順調に上昇していた株価に、暗雲が漂い始めるのは年が明けてほどなくした頃である。1月23日に192.9円の高値を付けた後にもみ合いとなり、決算で25年3月期の連結純利益が前期比14%減の1兆1000億円との見通しを発表してから急落。6月12日に心理的節目の150円を割り込んだ後も年初来安値を更新し続け、6月18日の終値は145.5円。半年で実に約25%も下落したことになる。『NISA勢』の悲鳴が聞こえてくるような暴落ぶりなのだ」(新潮)
ファイナンシャルプランナーの深野康彦がこういっている。
「新NISAの開始によって、これまで投資をしてこなかった人まで株を買い始めています。“バスに乗り遅れるな”といった風潮もあり、危険だなと思っていました。株価が落ち着いてからゆっくり始めてもいいはずなのに、みんな焦ってしまっている。NTTの暴落はそういう人たちにおきゅうをすえるという意味で良かったのではないかとすら思います。株はそうそううまくいかないよ、と」
では、「新NISA」をきっかけに、投資の世界に足を踏み入れた株初心者に冷水を浴びせることになったNTT株だが、ここまで急落している原因は何なのだろうか。
経済アナリストの森永康平はこう話す。
「決算を受けて株価が下がっていった中で、“NTTは安定しているからどうせこの後すぐに株価は戻るだろう”という『逆張り』の考えで信用取引で買った人が相当多かったようです。信用取引の買いはどこかのタイミングで売らなければならないので、将来的な売り圧力になります」
さらにこういう。
「そうした短期的な需給の問題に加えて、中長期的に見ても、政府が防衛費調達のためにNTT株の売却を検討している、という報道もあり、これも売り圧力になります。今の下落がいつまで続くのかは分かりませんが、需給の観点からは上がりにくい状態にはあると思います」
投資家のテスタは、株初心者にこういっている。
「初心者ほど慌ててしまいますけど、心が揺さぶられないようにすることが何よりも大事ではないでしょうか。
NISAで個別銘柄を買う人は、長期の目線を持っておく必要があります。わずかな期間の上下に一喜一憂してはいけません」
テスタのいうとおりだが、老後の資金が2千万、いや、3千万は必要と怯えている小銭持ちが、何も考えずに飛び付いた結果であろう。
私は悪いが同情はしない。株とは所詮そんなものである。一攫千金は夢のまた夢なのだ。