さて、国民の9割は愛子天皇誕生を待ち望んでいるのに、国会は何ら動きを始めようとしていない。

 このままでは愛子天皇実現は不可能だと現代は見ている。

 皇室の将来を考えているといわれる。立憲民主党の馬渕澄夫議員も、現状の議論の進め方を批判している。

「私は党の『安定的な皇位継承に関する検討委員会』の事務局長として立法府の議論に参加していますが、そこで女性天皇に関する話はまったく出ていない。世論調査では9割が容認しているにもかかわらず、現状は国民の思いを無視したまま進んでいます。永田町の論理だけで議論が進む事態があってはなりません」

 河西秀哉名古屋大学准教授によれば、「憲法第1条には、〈天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく〉とあります。つまり戦後日本では、天皇が天皇であるのは『国民がそれが良いと感じているから』だったわけです。もし愛子さまが天皇になられたら、名実ともに憲法の理念が実現するとも言えますね」

 現代によれば、女性天皇を実現するために憲法改正は必要ないという。

「憲法第2条は、〈皇位は世襲のものであって、国会の決議した皇室典範の定めるところにより、これを継承する〉となっていて、天皇の性別に関して規定していません。皇室典範を改正すれば十分です」(小田部雄次静岡福祉大学名誉教授)
皇室典範はあくまで法律である。国会で過半数が賛成すれば改正は可能で、憲法に比べてハードルが低い。大きく変更なのはこの2つの条文だという。
第1条〈皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する〉
第12条〈皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる〉

 天皇と男性のみの血縁でつながった関係を「男系」、間に1人でも女性がいる関係を「女系」という。愛子さんは父が天皇陛下である男系女子のため、第1条を改正する際は、文中の「男子」を「子女」とすればいい。しかしそれだけでは結婚されると皇室から離れてしまうので、結婚後も皇族の身分を保てるよう第12条も変える必要がある。これがいわゆる「女性宮家」の創設だという。

 しかし、実際に改正となると道のりは険しいようだ。

 白鳥浩法政大学教授がこう解説する。

「皇室典範は国家の根幹に関わる法律であり、改正するとなれば、国を二分する議論になりかねない。そう簡単に改正できるものではありません。
仮に手を加えるとなれば、議論の流れを作るのは国会ではなく、政府でしょう。世論の動向を見つつまずは有識者会議を立ち上げて、答申を受けたという体裁を整えてから、特例法を制定する形で進めるはずです」

 そうやって会議で結論が出るまでに約2年、立法に約1年かかるとして、合計で6年はかかるというのである。

 しかし、大きく変わる可能性は岸田首相にあると、現代はいうのだ。

 土壇場まで追い込まれた岸田首相が、時に大胆な奇策に打って出ることもあるから、何をやってくるかわからない。表向きには明言せず、支持率回復を狙って、国民から望まれている愛子天皇の議論を進める可能性もあるというのは河西准教授。

「仮に『即位されるのは、愛子さま一代限りで、そのお子さま、すなわち女系天皇は認めない』と線引きすれば、自民党内の保守派も納得するのではないでしょうか」というのである。

 国民の9割が支持する愛子天皇を、支持率10%台の岸田首相が、支持術アップのために実現を目指す。皮肉だが、あり得る話ではあろう。