ところで宝塚の“浄化”はまだまだ進まないようだ。
その一因は、あれだけの劇団員の自殺という問題を起こしながら、株主総会で阪急ホールディングスの角和夫会長が、怒号が飛ぶ中、かろうじて再任を果たしてしまったことがあると思う。
星組の現役タカラジェンヌのA子がこう文春に話している。
「有愛さん(享年25=筆者注)のことがあって、やっと宝塚は改善されるんだと希望を持っていました。でも現状は一向に改善されません。今でも過重労働や上級生からのパワハラがある中で働いています……」
以下は文春オンライン(2024/06/19)から。
「宝塚には入団1~7年目の生徒だけで行う新人公演という制度がある。本公演の期間中、各劇場1公演のみ若手が普段上級生がやる役を演じるこの舞台は、ファンが未来のスター候補をいち早く見定めることができる一方、有愛の心身を蝕んだ一因として遺族側にも指摘された。『長の期』(新人公演の最上級生)として新人公演の責任者を任されていた有愛は、過重労働を繰り返し、極度の疲労状態に追い込まれた。
こうした新人公演のあり方を見直す方策として、劇団は様々な“改革”を打ち出していたのだが……」
しかし、公演回数も、1日2回公演の日を減らしたが1日1回公演の日を増やし、その日の公演後に新人公演の稽古が追加され、休養に当てられなくなったという。
過重労働は軽減されず、上級生たちのパワハラというより“いじめ”といったほうが正確な「指導」が改まることはないそうである。
Aはこう語っている。
「私も受験生の頃はたくさんの出番が欲しかった。でも入ってみると毎日が辛く、出番が少なくあってほしいとさえ思ってしまいます。今もギリギリの精神状態で『死にたい』と口にする仲間もいます。変わらぬ状態を知ってほしくて今回声を上げようと決めました。
このままでは第二の飛び降り事件が起きてしまう。本当に改革を行うのであれば、もっと私たち現場のことを見て、うわべだけではない改革策を練ってほしい」
宝塚はこのままでは必ず滅びる。いや、もはや滅びる直前なのだろう。