お次はFRIDAYから。レバノンで逃亡生活を続けるカルロス・ゴーン被告(67)が、現地の大学で「特別講義」を始めていたことが明らかになったという。

「ゴーン氏は昨年9月、ホーリースピリット大学というキリスト教マロン派の大学で、この大学への支援を表明する会見を開きました。今回は同じ大学で、ビジネスマンを対象にした特別講義を始めた。ゴーンが講義を始めた理由は、レバノンの支配層へのアピールに他なりません」(ゴーンの知人)

 レバノンでは政治腐敗から経済危機が続いていたが、昨年8月のベイルート港爆発事故と新型コロナウイルスの蔓延でそれが一層深刻化したという。チャンスと見たゴーンは、レバノンの立て直しに自分が必要であることを示すために特別講義を始めたというのだ。

「ビジネス・ストラテジーズ・アンド・パフォーマンス・ウィズ・カルロス・ゴーン」と銘打たれた講義は、ビジネスの問題を解決する戦略について実践的な議論を行うとしている。

 今年3月24日に第1回が行われ、5月21日までに計6日間、33時間にわたって講義が開かれたという。

 日産やルノーの会長時代に築いた人脈なのか、講師陣にはジャガー・ランドローバーの現役CEOなど世界的自動車メーカーや投資会社の経営陣が名を連ね、共同でセッションを行う。

 しかも驚くべきはその受講料。一回の講義の参加者は20名に限られるが、一対一でゴーンから経営アドバイスを受けられる特典が付いて2万ドル(約220万円)もするというのだ。

 FRIDAYは講義を受けた受講生から話を聞くことができたという。

「トピックは『混乱時の危機管理』、『求められるリーダー像』、『利益や損失の管理』など10項目に及びます。しかし、蓋を開けるとほとんどゴーン氏の自慢話でしたね。倒産しかかっていた企業を立て直した事例として日産を取り上げ、『経営戦略を欠き、社員の失敗を責める古い企業体質を取り除くために腐心した』などと当時を振り返りながら話し始めました。
無駄を減らして最先端技術への積極的な投資をする一方、スキルを上げるための教育訓練を受けることを全社員に命令したことなどを自慢し、自分がうまく経営のかじ取りをしたおかげで日産やルノーが復活することができたと強調していました。
また、レバノンの現状に関しても『十分な資源があるのに統治が悪いため経済的に混乱している』と話し、自分なら国を救えると売り込みに余念がありませんでした」

 彼は逃亡中の身だが、手元には70億円を超える資産があると見られているそうだ。

 しかし、一方で、ゴーンに対する包囲網は確実に狭まっている。日本からの国外逃亡を助けたとされる元米国特殊部隊隊員のマイケル・テイラー容疑者と息子のピーター容疑者(共に小菅の東京拘置所に収容中)は、3月に東京地検特捜部が起訴した。

 ゴーンがルノーの資金を不正使用したとして、ルノーからの刑事告発を受理したフランスの検察当局は、5月29日にレバノン入りしてゴーン本人から事情聴取をする予定だという。

 果たして、日本の検察はゴーンを逮捕できるのだろうか。見物ではある。