ところで、君は「なかやまきんに君(45)」というのを知っているだろうか。

 鍛えあげられた筋肉を強調しながらシュールなギャグを放つお笑い芸人だそうだが、2023年のタレントCM起用社数ランキングで、女優の広瀬すずと並んで6位に輝いたというのだ。

 たいしたものだが、昨年のランキングだから、あっという間に忘れ去られるお笑い界、今年はどうなのか?

 まあいい。そのなかやま君が、「妖怪を追い払えば幸せが訪れる」などと参加者に説くスピリチュアル系のセミナー「本源セミナー」に複数回参加していたことが文春の取材で分かったというのだ。

 本源セミナーの“信者”の家族から、被害を訴える声が続々と上がっているそうだ。

 本源セミナーの関係者は、「創始者の女性は手かざし治療などを行う新興の仏教系宗教法人の元信者。彼女が代表の一般社団法人がセミナーを主宰しています」という。
セミナーの内容は過激だ。身の回りのもの、例えばサントリー製品やポケモンなどが妖怪とされ、捨てるよう指導される。

「セミナーを信じない人は『妖怪人間』で、縁を切るよう促されます」(同前)

 そんなセミナーに今年3月、きんに君が変装した姿でセミナーに向かう様子を収めた動画を文春が入手したという。

 変装までして参加するというのは、何かやましいところがあるのでは?

 参加者の一人で、母親がセミナーにハマっているというAはこう語っている。

「家族が崩壊し、最近は地獄のような日々です」

 彼を苦しめているのが、「妖怪ビリビリ」と呼ばれる儀式だという。

「自分の不幸の源となっている妖怪の名前をひたすら紙に書いて破り、踏みつけるんです。これが母の毎日のルーティーンになっており、認知症気味の祖母にもやらせている」

 本源にNGとされたものは孫が描いた恐竜の絵でも捨てさせられるというのである。

 こうしたカルト系の宗教活動をする“セミナー系”という団体が目立つて多くなっていると、カルト宗教問題に詳しい紀藤正樹弁護士はいっている。

 信者がつぎ込む金額も数十万程度で、被害が顕在化しにくいのだという。

 旧統一教会のような大々的なやり方ではないが、手口は同じである。

 きんに君に、続々と寄せられるセミナーの被害についての見解を問うべく、文春が取材を申し込むと、彼からメールで回答があったという。

「知りませんでした。(家族が崩壊したことが=筆者注)事実だとしたら戸惑いを隠せません。僕自身はただセミナーを体験しただけで、それ以上のことはありません」
 だが、セミナーを見て、聞いて、おかしいとは思わなかったのだろうか。そうだとすればこの芸人、時代感覚がゼロというしかない。もう一度セミナーに参加して、どこがどうおかしいのかを確かめてきたらいい。