──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ
前回の『光る君へ』、「忘れえぬ人(第24回)」には、困惑のあまり「どうして」とテレビ画面に語りかけてしまうシーンがけっこうありました。「日本との貿易を公式に再開する」というミッションを宋の朝廷から与えられた宋人たちの手先の周明(松下洸平さん)が(自分に好意を抱いているらしい)まひろ(吉高由里子さん)を抱きしめたり、キスしようとしたものの、まひろからは「(あなたは)嘘をついている。私を好いてなぞいない」と本心を見透かされ、叩き割った壺の破片を彼女の首元に突きつけて「左大臣(道長・柄本佑さん)に交易再開を求める手紙を書け」などと脅迫した一幕には、たいそうガッカリさせられました。
それでも毅然と対応したまひろに、周明は「宋はお前が思っているような国ではない」「宋は日本を見下している」「民に等しく機会を与える国などこの世のどこにもない」と言い捨て、その場から逃げ去っていったのですが、まひろ同様に視聴者の中でもジワジワと高まってきていた周明の好感度が一瞬にしてゼロ以下になるという、まさかの展開の数々に驚愕させられました。