持ち家vs賃貸、どちらがお得?シミュレーションで比較
持ち家と賃貸のコストを比較してみましょう。工務店支援を行うエニワン株式会社が2019年にアンケートを実施。その結果、直近3年以内に戸建住宅を建てた人の住宅購入予算は「2,000万円~4,000万円未満」という回答が45.3%と最も多くなりました。そこで、戸建てがこの価格帯で購入できるエリアを選び、同等の広さの賃貸物件と比較してみます。
世帯年収800万円、30歳男性、妻、子ども1人の3人で暮らす家族を想定し、物件としてはファミリータイプで2DKまたは2LDK程度を考えます。するとエリアは都心より少し離れた足立区、荒川区、葛飾区などの周辺区域か、もしくは東京周辺の県が考えられます。
そこで区内地域の物件の賃料を月15万円程度と想定します。この条件でそれぞれ50年以上暮らす際に支払う金額を考えてみましょう。
賃貸マンションの場合
賃貸では賃料に加えて、入居時に敷金・礼金と不動産会社の仲介手数料など合わせて3ヵ月分、さらに2年ごとに1ヵ月分の契約更新料を払うものとします。すると50年で支払う金額は9,405万円となります。
【計算式】
初期費用:
(敷金、礼金、仲介手数料:賃料3ヵ月分)+賃料1ヵ月分=合計
(15万円×3)+15万円=60万円
賃料:
1年目の家賃:11ヵ月×15万円=165万円
49年払い続けた場合:12ヵ月×49年=588ヵ月
588ヵ月×15万円=8,820万円
165万円+8,820万円=8,985万円
契約更新料:
2年おきの更新なので24回支払う
24回×15万円=360万円
初期費用+賃料+契約更新料=合計
60万円+165万円+8,820万円+360万円=9,405万円
戸建て住宅を購入する場合
一方、土地付き4,000万円の建売戸建て住宅を購入する場合は頭金として400万円、さらに住宅ローンの借り入れや登記に必要な諸費用として物件価格の7%を最初に支払うものとします。
以後、住宅ローンで残りの3,600万円を固定金利1.4%、最長の35年間とし、一定の支払いが定期的に行われる場合のローンの定期支払額を算出するPMT関数を使って表計算ソフトで計算した結果、毎月10万8,471円という月々の支払金額が算出されました。
そして、35年で支払う金額の総額は4,556万円、ここから住宅ローン控除想定366万円を差し引いて、住宅ローンで支払う総額は4,190万円となります。
また、持ち家の場合は固定資産税などの費用が発生します。物件を150平米以下の小規模住宅用地と想定すると、物件価格より固定資産税が年間7万円ほど。
建物の場所にもよりますが、都市計画税が4万2,000円程度と想定すると50年の合計は概算で560万円、さらに新築木造の修繕費用は50年で平均750万円程度(2016年アットホーム調査)ですから、合わせて1,310万円。
したがって、新築で購入した戸建て物件に50年住み続けた場合、初期費用、住宅ローン、入居後に必要な費用の合計は6,146万円となります。
【計算式】
初期費用:
頭金 400万円
諸費用 4,000万円×0.07=280万円
400万円+280万円=680万円
住宅ローン支払い:
住宅購入残金 3,600万円
金利 1.4%
支払期間 35年
住宅ローン控除 366万円
月々の支払金額:
=PMT(金利、支払期間、借入総額)
PMT(1.4%÷12ヵ月、12ヵ月×35年、3,600万円)=10万8,471円
総支払額=月々の支払金額×12ヵ月×支払期間=4,555万7,799円(≒4,556万円)
総支払額-住宅ローン控除=合計
4,556万円-366万円=4,190万円
入居後に必要な費用(50年計算):
固定資産税 7万円(年間)
都市計画税 4万2,000円(年間)
50年で想定される修繕費 750万円
(固定資産税+都市計画税)×期間+修繕費=総支払額
(7万円+4万2,000円)×50年+750万円=1,310万円
初期費用+住宅ローン支払い+入居後に必要な費用=合計
680万円+4,190万円+1,310万円=6,180万円
【戸建て購入と賃貸の支払い総計シミュレーション比較表】(単位:万円)
戸建て | 賃貸 | |
---|---|---|
初期費用 | 680 | 60 |
住宅ローン関連または家賃 | 4,190 | 9,345 |
居住後の税金等 | 1,310 | 0 |
合計 | 6,180 | 9,405 |
結果的には「どう選ぶか」「何を重視するか」がポイント
持ち家と賃貸のどちらを選ぶべきかは、求める条件やライフスタイルでまったく変わります。そのため人それぞれの条件を見極めるしかありません。
たとえば、持ち家の場合は住宅ローンを完済した時点で家計の負担は軽減されます。一方で賃貸物件は自分の家になりませんが、家族の人数や年齢、また仕事の状況に合わせて住まいを臨機応変に選択できることもできます。老後は介護施設などの選択も、持ち家より気軽に決めることができるでしょう。
このようにそれぞれのメリット・デメリットは、住まいにどのような条件を求めるかで変わることもあります。そのためまず自分のライフスタイルを整理したうえで、持ち家、賃貸それぞれの候補を選び、必要な時期に必要な支払いをできるかどうかを考え、自分に適した家を探すことが大切だと言えるでしょう。
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