◆抜群の身体能力を生かしたスピード感

『蛇の道』
 さらには、柴咲コウはパリ滞在中の2ヶ月間はマルシェに行って店員と会話をしたり、東京と同じように自転車を乗り回したりしていたそう。

 普段から体幹を鍛えているため身体能力も抜群だったそうで、黒沢清監督も「相手を押さえ込んだり、物を投げる動きが動物のように俊敏で、獰猛な感じがする。それこそ、車に乗って発車させるまでの速さは映画史上最速です(笑)」と驚いていたのだとか。

 その柴咲コウの役作りおよびスピード感は、前述した「犯罪に協力しているのに迷いがなさすぎて怖い」劇中の役に生かされていたのだろう。また、柴咲コウは休憩時間中にフランス人のキャストやスタッフと一緒に食堂でご飯を食べ談笑していたそうで、その社交性もまた劇中の「普通の女性にも見える」役とシンクロしているように思えるのだ。