◆二枚目俳優だというのに

 直言の判決が下ろうとする第24回では、今か今かと判決を待つ寅子の学友たちが法廷の外で待っていて、その中に優三もちゃんといる。でも相変わらず腹を下して、必死にこらえている。

 あるいは、直言が無罪となり一家の騒動が収束した後の場面。寅子が初の高等試験司法科を受けるが不合格になったことを踏まえた家族会議では、母・猪爪はる(石田ゆり子)から寅子がきつく言われる雰囲気に耐えきれず、優三がテーブルにゴツンと頭を突いてみせる。

 どうしてこの人はいつもこうなんだ。緊張を持ち前のゆるみで解いてしまう稀有な才能。それを演じる仲野太賀は基本的には二枚目俳優だというのに、あえて三枚目キャラを率先して引き受けて、細やかにおどける。

 自分が試験に合格できないときにはさすがに落胆の表情を隠さないけれど、でも彼は場所を選ばず、どんな苦いシチュエーションでも人々を和ませる。単なる道化師のような三枚目なんかじゃない。内面化された二枚目的な誠実キャラなのだ。