◆岩田剛典との共演場面

『虎に翼』
 同場面だけでなく、優三は何かと骨を折ることになる。第21回、猪爪家の非常時、彼がいろいろと世話を焼いているところへ、直言の弁護を引き受ける法学者・穂高重親(小林薫)を連れてくるのが、寅子とは明律大学の同期生である花岡悟(岩田剛典)。

 家長に代わって猪爪家を支えようとする優三を見た花岡が寅子の兄だと勘違いする。寅子に気がある花岡は、勘違いだと気づくやいなや、嫉妬の眼差しで目を泳がせる。

 寅子から「家族」だと言われた優三は、嬉しそうにする。三角関係がにわかに成立した瞬間、妙に改まった優三と花岡が目を合わせて静かに会釈をするのだが、これは緊張とゆるみが見事に噛み合った名共演場面ではないか。仲野と岩田による共演での演技の偏差がさりげなく華麗であり、鮮やかな見応えだ。