【第10週】華族令嬢、涼子さまのモデルは?
華族令嬢の「涼子さま」こと桜川涼子について今回は取り上げようと思います。
涼子は、高等文官試験(現在の司法試験)を実家の都合で断念してからはドラマに登場せず、今では寅子の回想シーンで顔が見られるだけになっていますが、今週(第10週)に「ライアン」こと久藤頼安(沢村一樹さん)という、(おそらく涼子同様)華族出身の新キャラが登場したこともあり、なんとなく、家のくびきから解放された涼子の再登場もあるのではないか……と感じています。
桜川涼子のモデルとしては、三淵嘉子さんの同期であり、同時期に女性弁護士になった久米愛さんの名前がネットでは上げられているようです。ちなみに史実の久米さんは戦時中でも、川崎の自宅で暮らしていた三淵さんのもとを、疎開していた岡山からはるばる訪ねてきてくれたり、ドラマ以上に二人の交流は密でした。
ただ筆者の目には、久米さんの面影を宿した登場人物は、小林涼子さん演じる久保田聡子などで、涼子のモデルとしては、華族という特権階級に生まれながらも、日本の社会の問題を劇的な方法で改善しようと、もがいていた岩倉靖子などの名前が思い浮かぶのです。岩倉靖子は1930年代の日本の「赤化華族事件」の中心人物で、寅子や涼子よりは少々、年長ではあるのですが……。
岩倉靖子は、明治天皇から厚く信頼された明治維新の立役者・岩倉具視のひ孫に当たる公爵令嬢でしたが、実家が経済的に没落する中、女子学習院を中途退学し、昭和5年(1930年)に日本女子大に入学しました。
しかし、そこで靖子は同じ大学にかよう上村従義男爵の長女・上村春子と親しくなります。上村春子も男爵令嬢というお嬢さまでしたが、司法官僚だった横田雄俊(ときの明治大学総長の四男)から影響をうけ、過激な社会運動に熱心でした。靖子は彼らから影響され、共産主義者として活動しはじめます。
全文はこちら▼