この子役が、オーディションに積極的でないことから事件現場でアンミカを目撃してしまい、元来芝居が好きであることから、アンミカからの口止めを守っているにもかかわらず決定的な証言をしてしまう。

「(現場である大道具倉庫に)行ってない」

「(犯人であるアンミカに)会ってない」

 子役に設定されたバックグラウンドを最大限に活かしている上に、「うさんくさい関西弁を使うタレント」というアンミカのパブリックイメージまで用いたこのシーンは、『イップス』を見ていて初めてゾクゾクする体験でした。こういうのが見たいのよ、こういうのが。

 さらに、今作の森ハヤシ回では謎がすべて解けた後に、もうひとつ事件関係者に人間味を乗せてくるんですよね。

 第3話の秘書には愚直なまでの忠誠心、前回のフィギュアスケーターには競技者としての美学、今回のアンミカには似つかわしくないコンプレックス。

 そうやって事件そのものに厚みをもたらして終わることで、余韻を残してくる。ほんとに、森ハヤシさんという脚本家はミステリーが好きなんだろうなと感じさせます。