ドラマの道長も「関白にはならない」と一条天皇に宣言していましたが、史実の道長は関白にならないことで、こうした朝廷の人事を決める公卿会議に積極的に介入し、部下たちにうまく恩義を与えることができていました。それゆえ、為時が約10年ぶりに官職に、しかも「大国」である越前の国司に任命してもらえたのは、道長から使い勝手のある男であると認められたにほかならないのでしょう。
もしかしたら、為時の切り札は、すでに文才を発揮していたとしてもおかしくはない娘の紫式部だったのかもしれませんね。史実の道長は策謀家ですから、長女の彰子(ドラマでは見上愛さん)が成長したら天皇の後宮に入内させようと考えていたでしょうし、その際には文学好きの帝をいかにして喜ばせるかの作戦も立てていたでしょうから……。
ちなみに紫式部も為時に付き従って越前国に向かっていますが、越前での暮らしが性に合わなかったようで、わずか1年ほどで京都に戻り、以前からプロポーズされていた藤原宣孝と結婚しています。何人もの妻や子をすでに持つ宣孝との結婚は、条件のよい結婚とは言えなかったものの、それでも越前での暮らしよりは「マシだ」と判断したのかもしれません。いずれにせよ、今後のドラマで紫式部と宣孝(そして道長)の関係がどのように描かれていくのか、興味津々ですね。
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