──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

 前回(第19回)の『光る君へ』では、ついに「長徳の変」が描かれましたが、伊周・隆家兄弟(三浦翔平さん・竜星涼さん)の思慮の浅さが引き起こした偶然の不幸というような描写でしたね。

 花山院(本郷奏多さん)が立派な牛車で身分を誇示しながらやってきた部分ですが、当時の貴族社会には身分によって乗ることが許される牛車のデザインに差があって、高い身分の持ち主ほど密会などの際には素性を隠そうと、わざと格式の低い牛車に乗ったりしたものです。史実の花山院ももう少し、普通っぽく見える牛車にしていたのではないでしょうか。

 また、昼間から唐突に別室にこもる励む定子(高畑充希さん)と一条天皇(塩野瑛久さん)を不思議に思うまひろ(吉高由里子さん)が事情を察し動揺するシーンにはネットの注目も集まりましたが、天皇の子づくりはまさに「国事行為」でしたからね……。しかし、ドラマではまひろと定子は面識を得てしまっていますから、これから道長(柄本佑さん)が定子に対する“仕打ち”を次々と行う中で、道長とまひろの関係もこじれてしまいそうな気もしました。