■憧憬と不穏と

『366日』は、美しき高校時代の感情や関係性を全肯定することでしかモノを語れないドラマです。

 なので、高校時代の仲良し5人衆に悪感情を抱かせることができません。ズルい、卑怯、ワガママ、身勝手、要するに視聴者がドラマを見ていて「こいつウゼーな、ムカつくな」と思ってしまう要素を丁寧に排除しています。そして、「高校時代の気持ち」に立ち戻ることこそ美徳であると言い張ります。

 しかし、それだけだとお話が進みませんので、周囲から不穏や災難を振りかけることになります。

 今回でいえば、まずは5人衆のひとりであるカズキ(綱啓永)の彼女。カズキがアスカ(広瀬アリス)に未練があることを知っている彼女は、カズキと同棲しているタワマンにアスカを呼び出し、その瀟洒な暮らしを見せつけます。

 それと、ハルトの担当ナースである宮辺さん(夏子)に病院の廊下でからんでいた退院間近の患者。宮辺さんも、過去にハルトが痴漢から救出したという過去があり「美しき高校時代」に含まれる人物です。

 そして、ラストでリコ(長濱ねる)を夜道で付け回しているっぽい謎の男。