――日本での知名度の高さを物語るエピソードですね。そんなアーツさんも協力したBreakingDownが日本で人気ですが、あの大会を現場で見て何を感じましたか?
アーツ 試合はみんな本気ですけど、その他の部分はエンタメ要素が強いと感じました。また、試合そのもののレベルはおしなべて低いですが、1分間で勝負を付けるというアイデアはとても面白いと感じました。なのでそこからヒントを得て、僕の大会でも初心者や未経験のアマチュアファイターは「90秒間」で戦わせてみようと考えています。とはいえ、BreakingDownのような乱闘要素は取り入れません(笑)。安全と礼儀を重んじて、経験の浅い選手にはヘッドギアやレガースを装着させますし、礼に始まり礼に終わる日本武道の精神で戦わせたいと思います。
――『Road to LEGEND』という名にふさわしい、逸材が見つかるといいですね。
アーツ はい、とても楽しみです。若くてやる気のある選手は強くしてあげたいですし、そのためのチャンスも用意してあげたいです。7月15日にもっと大きな大会を予定していますので、そこにつながる選手かどうかを、まずは3月の大会で一人ずつよくチェックしたいと思います。ちなみに今、ヨーロッパやアメリカでは日本人の選手が人気で、「いい選手を紹介してほしい」と方々から頼まれている状態でもあるんですよ。
――それはどういう意味での人気なのでしょう?
アーツ 海外の多くの団体は日本とのコネクションがないため、日本人選手の価値が高いんです。だから僕がパイプ役になって、いい日本人選手をこれからたくさん育成し、ゆくゆくは海外に送り込みたいと考えています。日本人はフライ級などの軽量級には強い選手がたくさんいますが、85kg以上になると人材不足ですね。そういえば7月の大会には、“ターザン”の異名を持つディアン・デ・ヴリーズというオランダ人のキックボクサーが85kg級で参戦予定です。彼は22歳と若く、世界的にはまだ無名ですが、20戦20勝18KOという戦績を誇り、KOはすべて1ラウンドという猛者です。四つん這いで入場するなどパフォーマンスも面白く、スター性がとてもあるんですが、このターザンと戦ってくれる日本人がなかなか見つからないのが悩みの種です。みんな試合映像を見ると断るんですよ。こりゃ勝てない、と。だから、ターザンと渡り合えるような日本人を探すのも僕の急務と言えますね。